ちょっと昨年の話になってしまうのですが「スクリーン・デジタル印刷界」という業界誌に“スクリーン印刷とデザイン”というテーマでエッセイを書かせていただきました。
印刷とデザインは切り離せない関係にあります。
そしてデザインにとってスクリーン印刷は新たな可能性を引き出せる印刷技法だと思います。
スクリーン印刷で印刷したポスターはインクの厚みや質感によって特化した物に成り得ますし、掛け合わせで作るカラー表現では出せない調色によ
る色は発色が良くインパクトのある表現が出来ます。デザインのアイデア次第でまだまだ可能性を秘めたスクリーン印刷を活用して注目を浴びる様
なポスターをデザイナーの皆さんには考えていただきたいと思います。
最近はデジタル化が進みインクジェットのプリンターが様々な印刷に活用されてきています。
格言う私もシルクスクリーンで印刷していた年賀状をいつの間にかインクジェットで印刷する様になってしまっていました。色数などを気にせずに
デザインが出来るという利点はありますが、逆に色数を限定してシルクスクリーンで印刷する事を前提にデザインを考えているとシンプルだけれど
インパクトのあるデザインを思いつく様に思います。(画像左下は薄いダンボール紙に4色でスクリーン印刷した2015年のパイナップルファクトリー
の年賀状です)
最近は2020年の東京オリンピックのエンブレム問題などでデザインのオリジナル性に置いて色々と騒がれていますが、私がお店などのロゴマーク
を頼まれてデザインをする時は何もない所から考えるのではなく、自分が好きな1950年代のアメリカの雑誌の広告デザインなどの資料を元にインス
ピレーションを受けてデザインを考えるので、どうしても似た物になってしまうのですが出来るだけオリジナティを出す様にはしています。
(画像真ん中下は今年50周年を迎えた府中の日本料理店の50周年記念ロゴマークをTシャツにプリントするためにデザインした物です)
そんな中でオリジナルのTシャツのデザインを考える時にはパロディから生まれてくると面白く楽しい物が出来るので、皆さんが知っているデザイ
ンのパロディを思いつく事がよくあります。Tシャツは街中で皆さんが着て歩く物ですからパロディTシャツは注目を集めるにはもっとも効果的なデ
ザインと言えるでしょう。
そしてその中には風刺や批判など世の中にメッセージを送るものなどもあります。
(上の自己紹介の写真はアメリカの50年代の雑誌をパロディしてみました)
これからもスクリーン印刷とデザインの関係がもっと理解されて素晴らしい印刷作品が生まれる事によってスクリーン印刷が世の中でもっともっと
注目される事を切に願いたいと思います。
※画像右下は薄いダンボール紙に3色でスクリーン印刷した2016年の年賀状です。