その日の朝は7時ちょっと過ぎに目が覚めた。
キャンピングカーから外に出ると辺りはもう充分明るくなっていたが空の大半はグレーの雲で覆われていて何か異次元の世界にいるようだった。
そのグレーの雲の所々から青い空が顔を出していたが、天気予報では曇り時々雨と出ていたので今日1日富士山をくっきりと眺める事は出来そうになかった、こんなに富士山の近くまで来るのは何十年かぶりだったのに富士山の写真を撮れそうにないのは残念だった。
よく山の天気は変わり易いと言うが確かに上空は雲の流れが速く時々雨を運んでくる。
そんな中、朝食の仕度を始める。
昨日の夜、暖をとるために炭を燃やしていた中にアルミホイルに包んだジャガイモを入れておいた、まずはそのジャガイモを適度な大きさに切って予め用意していたブロッコリーと一緒にバターを溶かし入れたフライパンで炒めた、その上にピザ用のとろけるチーズをのせてチーズがとけたらまず1品目の出来上がり、次にハムを焼き、プレーンオムレツを作って最後にパンを焼いて出来上がり、すべてを小さなフライパン1つで作ってしまうところがキャンプならではの料理だなと思った。
清々しい山の空気を吸い込みながら飲むコーヒーは格別に美味しいし温かい、パンの上にハムとオムレツをのせて食べる、ジャガイモとチーズはすごく相性がいいようだが、それよりもすべての食材が山の空気を吸い込んで最高に美味しいものになっていた、そんな朝食を終えて富士山の方を見ると裾野の方から明るくはなってきていたが、残念ながら相変わらず富士山の半分以上はグレーの雲に覆われていた、その時“あっ”と思う光景が目に飛び込んできた。
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